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31文字の情景 [本]

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                      ≪花林檎≫

一昨年の夏 亡くなった

河野祐子という歌人の名前を 

あちこちの書評で目にするようになり 2冊購入

ありふれた日常を31の文字で

暖かく切り取っていて 素敵だ!と思った 

なかでも この二つの歌が好き

*しっかりと飯を食わせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合せ

                   『紅』 平成3年

*さみしくてあたたかかりきこの世にて会い得しことを幸せに思う

                  『家族の歌』平成23年

この秋... 

第一回 「~家族を歌う~河野祐子短歌賞」

というのがあったらしく

14日付けの産経新聞に発表されていた

*寄港する夫に届ける子の写真ばんそうこうの訳を書き足す

                                                             下町あきら

*恥ずかしいくらいに手を振る母がいてバンクーバーへ僕は旅立つ

                      澤邊 稜

*留守電に元気な頃の母の声『あれ おらんがな?』消せずに5年

                     子川多栄子

たったの31文字に...

こんなにたくさんの思いや情景を詰めることができるなんて

本当にいいなぁ...って

心からそう思う[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]


子規 [本]


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正岡子規の 「 仰臥漫録(ぎょうがまんろく) 」 は

いつ読んでも 

何回読んでも飽きない

なぜ 興味を惹かれるのか 

よくわからないのだけれど....おもしろい。  

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朝.....ヌク飯三ワン  佃煮   梅干し  牛乳一合ココア入り

   菓子パン  塩センベイ

午.....マグロノサシミ   粥ニワン  ナラ漬  胡桃煮付け

   大根モミ  梨一つ

間食...餅菓子十二個  菓子パン  塩センベイ  渋茶

   食過ノタメカ苦シ

晩.....キスノ魚田 ニ尾  フキナマスニ椀  ナラ漬け  

   サシミノ残り  粥三椀  梨一ツ  葡萄一房

**********************************************

明治33年ごろの 

こういった日々の献立を 毎日、毎日 

規則正しく 繰り返し書いている。

しかも 彼は慢性結核を患っている重病人!

なのに... この あっぱれな食欲!!

命がけで食べて 

書き遺しているって感じがする。

布団に半起きになってこちらを見ている

表紙の裏の 白黒写真からは 

ご飯を毎食 〝おかわり〟しているなんて

ちょっと 想像もできない。

おやつに ほぼ毎日 

菓子パンやお餅のお菓子を食べている

しかも 一回につき 何個も!!

あぁ...そぅそぅ

看護師 秘書 家政婦 経理 すべてを担わせて

いわば  正岡家のすべてを委ねている

妹の律に対して

「律ハ 強情也 人間ニ向ツテ冷淡也 特ニ 男ニ向ツテshy也」

などと 書いていて この部分には ちょっと呆れてしまうし。

でもね...  

それでも 何回読んでも この本は飽きない。

毎日 私や家族が

何気なく食べている食事の内容や

ありふれている日常も

すっごく 大切なことのように

思えてきたりするからね...(´・ω・`)b


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善良な町長の物語 [本]

 

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石楠花 (この花は蕾の時間が長ーい!!)

 

 

『善良な町長の物語』 

著者:アンドリュー・ニコル  

翻訳:伊達 淳

 

なんだか不思議な本

バルト海沿岸の町の物語

訳がチャーミングで

善良で純情な町長さんの魅力が光ってた

 

ここんところ ノンフィクションばっかり

この本を読んだら...

美術館へ行きたくなった[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]

 


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全ての装備を知恵に置き換えること [本]

 

林檎畑

 

著者:石川直樹     出版社:集英社

 

題名は パタゴニア製品の生みの親である

イヴォン・シュイナードの言葉らしい

この会社の製品はとても高価で

私など....

購入するのは とても勇気がいるけれど

 

 

石川直樹の本を ここ数ヵ月 続けて読んだ

    「 最後の冒険家 」

    「 いま生きているという冒険 」

    「 この地球を受け継ぐ者へ 」

 

何が必要なのかを考える前に 

何が必要ではないか

手元にある何かで代用することができないか...

これらに 

徹底的にこだわるような姿勢は

清々しさを感じます

 

 

ずいぶん前に 彼が

北極点から南極点まで横断するプロジェクト

「 pole to pole 」 へ参加したという記事を

何かの雑誌で読んだことがあった

あれは2000年のことだったらしい

 

心に思いを定めているところなんか

星野道夫の生き方と似ている気がする

カッコいいねぇ...

心の底から 

そう思う

 


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岩波少年文庫 [本]

福寿草はアイヌ語で...クナウノンノ

庭にスノードロップの花を見つけて

「森は生きている」 を Blog記事にしたら 

私は小学生の頃.... 

岩波少年文庫の 相当なオタク少女だったことを思い出した[ひらめき]

毎日 放課後 学校の図書館へ通い

岩波少年文庫の本棚から本を借りた...

〝 これは明日借りよう! 〟

そう 思っていた本が 誰かに貸し出されていたりすると

帰り道 ちょっと遠回りして 

市立図書館に寄って この本を借りたものだった

そうそう.... 

学校の図書貸し出しカードの  私の名前の前後に必ず

「さくらざわあつこ」ちゃんの名前があったこと 

今....突然思い出した!!

「さくらざわあつこ」ちゃんは

カッレくんシリーズが好きみたいだった

読んだ本の名前は...

ゆかいなホーマーくん

大どろぼうのホッツェンプロッツ シリーズ

クマのプーさん

マルコヴァルドさんの四季

やかまし村の子どもたち シリーズ

名探偵カッレ君 シリーズ

あしながおじさん

赤毛のアン

みどりのゆび

フランダースの犬

長くつ下のピッピ

ふたりのロッテ

ドリトル先生 シリーズ

太陽の東 月の西

まぁ 書き出したら....

泉が湧き出るように 

本の名前がどんどん出てきて止まらない

どうしましょう(笑)


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幼児語 [本]

 

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                                                   木瓜

 

最近....... 

柳田國男が全国各地から

子供時代にしか使わない日本語を編さんした

「分類児童語彙」 という本を

ぱらぱらと面白く読んでいます....

 

昔 自分の子供が赤ちゃんだったころ 

近くにいた子育ての先輩から

 

  「 ぶーぶー、ぽちゃ、くっく なんて日本語はないのよ!

   ちゃんと...くるま、お風呂、くつ って教えなきゃだめ!!」

 

結構 強く注意され

なんとなく理不尽で納得のいかない感情を抱きながらも 

当時 若かった私は 

この子育ての先輩が 家に来る時は 

自分も子供も.....幼児語を使わないようにと 

いつも緊張していたことを 

今 おかしく思い出しています

 

なぜなら.....

この本を読んでいると 幼児語が、日本の子育て文化を伝える

大切な言葉であることがわかるからです

 

舌のまわらない幼児が 最初に口にする言葉は

だいたい同じような 響きの良い 

大人だって懐かしくなるような 自然の発音なのもわかります

 

母親かまたは最初の食べ物が 「 マンマ 」なのは

世界共通語とか.....

 

特に 「のんのんさん」の項目は 相当な量で

古代の日月信仰の名残とも書いてあります

 

幼い人を相手に話をするときには

やっぱり

 

 「わんわんがいるね~!」 

 「ぶーぶーがきたね~!」

 

このほうが  ずーっと自然だし 

いい歳した大人の私だって 大きなお月さまを見たときには

「のんのんさま」 と言いたくなりますものね [満月][やや欠け月][半月][三日月]

 

この本を当時の私が知っていたら

言い返してあげたのにね~!

あぁ残念......(๑→ܫ←๑) 

 

 


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佐野えんねさん  [本]


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日本に住むと日本のくらし

日本に住むと日本のくらし

  • 作者: 佐野 えんね
  • 出版社/メーカー: 樹心社
  • 発売日: 1988/06
  • メディア: 単行本

佐野えんねさんは1901年生まれで

日本で60年余りを過ごし、95歳で亡くなったドイツ人女性

日本人の男性と結婚し、大学教授や農家を営みながら子供を育て 

ドイツと日本の暮らしについて客観的に綴った本です

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・・・・いま、五十年あまりもこの自分の生まれ育った国と対極に

あるような世界に住み続けた後に、ようやく私が悟らされていることは、

一人の人間の中に生まれ育った国の気候、風土、民族のたどってきた

遥かな歴史の経過などが、どんなに根強く働き続け、どんなに深い痕を

刻みつけているか、ということです。

言葉はふしぎなものです。普通につかうと、ただいつの間にか、

人の口からながれ出て、人の耳に入ってしまいます。べんりな、

たがいの知らせのどうぐであるだけですが、時どき、だれかのいう

言葉のなかに、玉のように光るものがあって、それは何代もの

人間の経験、大ぜいのひとのかんがえたことが、その一人の人の

言葉に結晶したのです。

                                  本文より

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子供の目線の上(椅子と机の上)の生活と.....

日常生活が すべて目の前に繰り広げられる畳の世界との違い

両国の民族がそれぞれの子育てを通して

子供を慈しみ 礼節を伝え 品格を重んじていく素晴らしさ.....

ご苦労が多かったであろう〝日本の暮らし〟のはずなのに

そんなことをちっとも感じさせないのは

彼女の聡明さや客観性それに優しさかもしれないと思いました

読んだ後.....

自分の感性が響くのを 久しぶりに感じた本でした 


カカオ [本]

 

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Fairtrade 関係(特にチョコレート)の本を

読む必要に迫られ .... 4~5冊 購入 [本]

 

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日本はカカオ豆原料の70%(4万トン)を

ガーナから輸入し 国内で製品化

チョコレート価格のうち カカオ豆農園主に渡るのは0,5%

600円のチョコレートを買ってもたったの3円

そこから労働者に支払われる賃金はもっと安くなる

カカオ豆を収穫している子どもたちは

カカオ豆がチョコレートになることは知らず 

もちろん 食べたことはない......。

        (アムネスティ・インターナショナル刊 「児童労働」)

 

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この数ヶ月.....

いろいろな側面から たくさんのことを知りました[ひらめき]

 


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ニルスの不思議な旅 [本]

 

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ニルスのふしぎな旅 上

ニルスのふしぎな旅

  • 作者: セルマ ラーゲルレーヴ
  • 出版社/メーカー: 福音館書店

菱木晃子 訳  

 

 

 小さいころ夢中になって何回も、何回も読んだ本は....

 アストリッド・リンドグレーンの

 「長靴下のピッピ」 「やかまし村の子どもたち」 「ロッタちゃん」

 それから ラーゲルレーヴの 「ニルスの不思議な旅」

 

 この間 本屋さんでニルスを見つけて 

 懐かしさのあまり購入

 読み始めたらやめられず....

 最後まで いっきに読んでしまいました

    

 小さい頃読んだ印象とは ずいぶん違っていて

 まるで 別の本を読んだような感じです

 

 まず 驚いたことは 

 作者のラーゲルレーヴは 小学校の教師から

 スェーデンの地理の教科書を書くよう要請され

 100年前に この本が書かれていた...ということでした 

 なんと教科書だったとは!! 

 

 そして 地理のみならず...... 

 あちこちの土地の話を挿入しながら街の様子や産業 

 人々の生活 それに美しい自然を

 精緻に書き出していたことに びっくり!!

 

 菱木晃子という訳者の 細やかでなめらかな訳文は

 原作者ラーゲルレーヴの

 温厚さと聡明さを浮かび上がらせていて

 やさしい言葉で綴られているのに.....

 深い思索と多くの示唆に富んでいました[ひらめき]

 

 いたずらっ子のニルスが 魔法で小さくされて

 ガチョウのモルテンと一緒に

 鳥 動物 人と関わりながら

 成長していくだけの物語でなかったことに.....

 本当に びっくり!!

  感動しました....( ̄~ ̄)  

 


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「物語のはじまり」  松村由利子 [本]

  

物語のはじまり―短歌でつづる日常 

     

     作   者 : 松村 由利子
     出版社 : 中央公論新社

 

様々な人が 短歌で綴った日常を

松村由利子さんが その作者の背景や心情を  

働く、食べる、恋する、ともに暮らす、住まう、 産む、育てる、見る、老いる 、病む・別れる

10 のカテゴリーに分けて解説した本です。

 

*       *       *       *       *       *       *       *        *       *       *       *

 

この本の 「おわりに」 

『三十一音という短い詩型がもつ力、それは物語を内包する力ではないかと思う。

こんなに小さな形なのに、人生のいろいろな場面が凝縮されていて、読む者の

胸に届いた途端みるみるうちに感情をあふれさせる。

そうした力を持つからこそ、日本人は折あるごとに歌を詠んで自身の慰めとし

優れた作品を鑑賞することで心を豊かにしてきたのだろう......』

とあります。

 

*       *       *       *       *       *       *       *        *       *       *       *

 

俳句や短歌......

少ない言葉で.......その背景や心情を読み取る時間......

なんて素敵なんでしょうね!!

最近 読んだ本のなかで〝イチオシ〟です。

 

私も詠んでみようかな.......俳句か短歌.....

そう 思ってしまう本でした........(*´人`*)